裁判離婚 | 高の原法律事務所(奈良弁護士会所属)

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裁判離婚

裁判離婚とは、夫婦間の話し合いや家庭裁判所における調停手続でも離婚が成立しない場合に、離婚を求める側が家庭裁判所に離婚訴訟を起こし、家庭裁判所の判決を得て離婚を行うことをいいます。

訴訟を起こす側が原告、起こされる側が被告とよばれます。裁判離婚の場合、当事者間のどちらか一方が離婚に合意しなくても、裁判で離婚を認める判決となれば、法的強制力によって離婚することができます。なお、裁判離婚を提起するには、前提として、家庭裁判所に調停の申立てをしなければなりません。 裁判離婚は、協議離婚、調停離婚と異なり、裁判を行うため、法律の専門知識や技術が必要です。 裁判離婚を行うのであれば、初期段階から弁護士に依頼することをお勧めいたします。

また、裁判離婚を行う場合は、裁判費用の他に、時間や労力、精神的負担の覚悟が必要ですし、望み通りの判決が出るとは限らないということも覚悟しておくべきでしょう。裁判期間も早くて1年~1年半、最高裁判所まで争うことになれば長くて5年程度かかります。

なお、家庭裁判所で調停が不成立に終わってから2週間以内に訴えを起こしたときは、調停の申立てのあったときに訴えの提起があったものとして扱われます。また、この場合、調停申立書に貼った手数料相当額は、訴状に貼る印紙額から差し引かれます。

裁判離婚の条件

裁判離婚はどのような場合でも認められるものではなく、以下に記す5つの法定離婚事由にひとつ以上該当しなければなりません。

(1) 不貞行為

セックスを伴ったいわゆる浮気や不倫の行為で、一時的なものか継続しているか、愛情の有無は関係ありません。

(2) 悪意の遺棄

同居・協力・扶助(ふじょ)といった夫婦間の義務を、ギャンブルに興じて働かない、生活費を渡さない、勝手に家を出てしまったなどにより、故意に果たさない行為のことです。

(3) 3年以上の生死不明

3年以上にわたり、配偶者からの連絡が途絶えて、生死も不明な場合です。7年以上継続する場合には、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることが出来ます。失踪宣告が確定すると配偶者は死亡したものとみなされ、婚姻関係は終了します。

(4) 回復の見込みがない強度の精神病

配偶者が精神病になったという理由だけでは認められず、医師の診断やそれまでの介護や看護の状況、離婚後の配偶者の治療や生活などを含んで裁判官が判断します。

(5) その他の婚姻を継続しがたい重大な事由

性格の不一致によって夫婦の対立が抜きがたいものとなる、配偶者の親族とのトラブル、多額の借金、宗教活動にのめり込む、暴力(DV)、ギャンブルや浪費癖、勤労意欲の欠如、性交渉の拒否・性交不能、犯罪による長期懲役など、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない場合をいい、裁判官が判断します。

裁判離婚の手順

裁判離婚を行うためには、下記の必要な条件を整え訴訟を行うことが必要です。

  • 1) 離婚を求める内容と離婚の理由を書いた訴状を2通作成する
  • 2) 調停不成立証明書を揃える
  • 3) 戸籍謄本を揃える
  • 4) 上記3点の書類を管轄の家庭裁判所へ提出する

訴状の作成は、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。弁護士であれば、それぞれのケースに合わせて、適切な内容の訴状を作成することができます。 なお、裁判離婚の場合、判決が確定した時に離婚となりますが、届出は必要です。判決が確定してから10日以内に判決謄本を添付して戸籍係に届け出ることになっています。

裁判離婚の注意点

裁判離婚では、原則的に離婚原因を作った有責配偶者に離婚訴訟は行えません。例えば不倫相手と生活したいがために、離婚を請求するといった行為を法律上では認めていません。

しかし、最近では下記のような一定の条件を満すときは有責配偶者からの訴訟を認めるケースもあります。

  • ・別居期間が同居期間と比較し、相当長い
  • ・未成熟の子供がいない
  • ・離婚請求された相手方が精神的、社会的、経済的に過酷な状態におかれていない

有責配偶者からの訴訟が認められるようになった背景は、事実上結婚生活が破綻し、修復が困難な状態で、婚姻を継続する必要がないと認められる夫婦を、いつまでも婚姻させ続けることが不自然であるからです。 但し、条件を満たしていても有責配偶者からの提訴が全て認められる訳ではありません。

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