法定相続人がいないので、公正証書遺言を作成、本人の死亡後に弁護士が遺言執行をした事例
Aさんは配偶者や子供がなく老人介護施設で暮らしておられました。健康面に不安があったのですが、相続人がおらず遠い親戚にあたる複数の人に世話になっていたので、あらかじめ公正証書遺言でお世話になっている方々に財産を遺贈することにされました。
弁護士はAさんの意向を聞いて遺言書の案を作成し、公証人に施設への出張を依頼して公正証書を作成しました。公正証書には遺言執行者として弁護士が明記されました。
遺言書作成の約1年後に、Aさんは施設で亡くなられました。遺言書に従い、弁護士が遺言執行人として対処しました。
Aさん所有の住居は30年前に借地の上に建設されていて、不動産としての価値はなく地主から解体を求められていたため、解体することにしました。
解体業者との交渉や解体した建物の滅失登記、地主との土地賃貸契約の終了や土地明渡の交渉なども、弁護士の主導で行いました。
必要な業務が終了し、遺産総額が確定した後、弁護士は遺言書に従い遺産を分配しました。
法定相続人がいない場合、原則的に遺言書がないと遺産の配分ができません。特定の人に財産を遺贈したい場合、遺言書で意思を明確にしておかねばなりません。この場合、遺言執行者として第三者である弁護士を指名しておくと、遺言通りの遺産の配分をスムーズに実現することができます。
Aさんは公正証書遺言を作成しておかれたので、相続が円滑にできて遺贈を受けた人たちも喜んでおられました。