別居中の夫から離婚の調停を申し立てられたが、未払いの婚姻費用分担の調停を申し立て、財産分与と慰謝料を認めさせた事例
Aさんは結婚して子供が二人ありましたが、仕事の関係で夫は仕事場近くのアパートで生活するようになりました。別居後6年を経過したころ夫の代理人弁護士から離婚の申し出があり、しばらくして離婚の調停が申し立てられました。
Aさんは離婚には同意しても、夫が別居中に不倫をしていたことについての慰藉料や未払いになっている婚姻費用や財産分与のことをきちんと解決したいと考えられました。
Aさんは、相談できる弁護士をインターネットで探し、当事務所を訪問して弁護士と面談し、解決策について相談されました。
弁護士と面談後、今後の離婚についての夫側との交渉を弁護士に委任されました。
夫側は、別居期間が長く既に婚姻生活は破綻しているとの理由で離婚を求めるとともに、財産分与としてAさんが住んでいる夫名義の自宅価格の半分を支払うことや、すでに解約した夫名義の生命保険などを返還するように求めました。
弁護士は、Aさん夫婦が別居はしていても、夫は子供と遊びに行ったり、親族で食事をしたりしていたので家族のつながりやかかわりは続いていたので、婚姻生活が破綻していなかったと主張しました。また、解約した生命保険については、夫が支払わなくなった婚費に充当していると主張しました。
さらに弁護士は、夫は別居中に特定の女性と不貞行為をしていたことを示し、慰謝料の請求を求めました。
Aさんには、婚費が調停の開始前から支払われておらず、Aさんの生活が苦しくなってきたので、弁護士が助言して、Aさんは婚費請求の調停を申し立てました。
この調停は離婚調停と一緒に手続きが進められました。夫側は収入が少なく婚費の支払能力がないと主張しましたが、弁護士は夫側から開示された業務上の請求書・領収書や預金通帳の金額を細かく分析し、夫が実際には主張するより多くの収入を得ていることを指摘しました。
弁護士は多くの証拠を示し、夫に婚費の支払い能力があることを主張し、多額の預金もあるはずと指摘して、預金通帳の残高を開示するように求めました。
双方の主張や証拠が殆ど出尽くしたので、裁判官からは双方の主張を勘案した上での和解案が示されました。
裁判官は、解決金として財産分与、未払い婚姻費用、慰謝料を合算した金額を提示し、双方がこれを受け入れました。
和解案には、Aさん居住の自宅が自己の所有になることや、婚姻費用や慰謝料の支払いが含まれていて、Aさんは自分の主張がほぼ認められており、納得して和解に応じることが出来ました。
調停においても、自分に有利な和解案を実現するには裁判と同じように、主張を証明する証拠が必要です。多くの証拠を積み上げて、論理的に主張の正当性を裏付けることによって満足できる結果が得られます。
弁護士は、委任者と綿密に相談し、適切な資料作成して調停に臨みます。